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歯科治療コラム

生活歯髄療法 カリエスが歯髄へ到達している永久歯への生活歯髄療法の術式、覆髄材について 

Vital Pulp Therapy in Vital Permanent Teeth with Cariously Exposed Pulp: A Systematic Review

システマティックレビュー:カリエスが歯髄へ到達しているヒト永久歯への生活歯髄療法

Panuroot Aguilar, Pairoj Linsuwanont; J Endod 2011;37:581–587

 

<目的>

カリエスが歯髄へ到達しているヒト永久歯への、直接覆髄、部分断髄、完全断髄の3つの生活歯髄療法のX線、臨床的な成功に関して調査すること

 

<方法>

MEDLINE、Pubmed、Cochraneデータベース、および歯内療法関連の教科書、雑誌のデータから、それぞれの成功率をランダム化比較試験により分析を行った

 

<Material>

サンプル選択の基準

1・ヒト永久歯でカリエスによる露髄を認めたもの

2・直接覆髄、部分断髄、完全断髄が、水酸化カルシウムかMTAにより行われたもの

3・臨床症状とX線にて予後評価が行われたもの

4・raw dateから成功率が計算できるもの

5・最低限6ヶ月の予後があること

6・英語のもの

 

・対象歯数 1385本 :直接覆髄 996本 / 部分断髄 199本 / 完全断髄 190本

・患者年齢         :直接覆髄 6~10才 / 部分断髄 6~27才 / 完全断髄 6~70才

・予後観察期間        :1~10年

 

<結果>

・全体の成功率は、72.9 ~ 99.4%

 

<考察>

術式について

・直接覆髄では、予後観察期間で成功率の変動がみられた。一方、部分断髄,完全断髄では、3年以上の観察期間で高い成功率を維持し、有意差はみられなかった。ゆえに、炎症性の歯髄は完全除去すべきであると仮定するのは妥当であろう。

・直接覆髄,部分断髄の症例では、打診が無く、長引く痛み、透過像が無い症例のみであったが、完全断髄の症例では、透過像がある症例も含まれており、成功を示した。臨床症状と各術式の結果の相関を示すことは、今研究ではできなかった。しかし、「可逆性歯髄炎」と診断されたときのみ生活歯髄療法の適応であるという考えとは結果が相反しており、「可逆性」「不可逆性」の用語を再考すべきであり、歯髄の状態の正しい診査法の確立が必要である。

 

覆髄材について

・直接的な比較では、Ca(OH)2とMTAでの成功率に有意差はみられなかった。

・間接的なプール分析での成功率の比較では、直接覆髄においてはMTAが、部分断髄においてはCa(OH)2が優位だった。完全断髄においては有意差はみられなかった。

研究間で異質性によるエラーの可能性があり、この結果に関して、慎重に解釈するべきである。結論的には、両材料ともに良好な結果を期待でき、どちらが優れているかは決定できない。

 

 

根の完成度(年齢)について

・直接覆髄においては、open apexの方が優位な成功率を示し、部分断髄,完全断髄においてはopenとcloseで有意差はなかった。

今研究では、根完成度が生活歯髄療法の結果へ及ぼす影響を分析するには不十分であった。しかし、6~70歳で成功を示しており、歯髄の治癒能力は高いといえる。

 

 

<結論>

・カリエスが歯髄へ到達している永久歯の治療として、生活歯髄療法が抜髄の代替治療としてなりえる。

・断髄は、直接覆髄より予測可能な結果を期待できる。

・生活歯髄療法の結果への影響因子を決定することは今研究では困難で、より質の高い研究が必要である。

 

八王子・西八王子の歯医者 レイス歯科クリニック 院長 池田 洋之