症例紹介
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【症例】診査、診断の重要性、困難性がわかる症例

症例情報
治療内容 | 根管治療 |
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期間 | 6ヶ月の再評価 |
治療回数 | 根管治療 2回 |
費用 | 根管治療 143,000円×2 |
治療前の状態・主訴
左上の奥歯が数日前から嚙むと痛いとのことで来院されました。
治療詳細
X線にて左上7番の根尖に透過像を認めます。X線のみの診査では、おそらくこの左上7番が原因であると診断してしまうでしょう。
しかし、精密に必要な診査をしたところ、左上7番の根尖性歯周炎に加えて、左上6番には視診(外見)やX線では異常所見は見当たりませんが歯髄壊死と診断でき、今訴えている痛みの主な歯は左上6番であると診断しました。
根管治療に同意され、アクセスしていくとクラックを認めました。歯髄壊死の原因はこの目に見えないクラックでした。
治療後の様子
6ヶ月後の再評価時のX線では、7番の根尖透過像の縮小を認め、当初の症状は落ち着きました。
主な副作用・リスク
・MTA使用の場合、別途費用が発生します
・予後不良の場合、外科的歯内療法へ移行します
X線のみでの診断は、誤診の原因となります
今症例の原因歯は、X線上も視診でも異常は認められず、隣在歯に大きな根尖病変を認め、本来必要な診査をしないと隣在歯が痛みの原因であると誤診される可能性が非常に高いでしょう。
診査、診断の重要性と困難性がわかる症例です。
歯の神経は、硬組織に囲まれていて、直接見ることも触ることもできません。
この神経に何が起きているのか、細菌が入ってしまっているのかを100%知るすべはありません。また、痛みも全く別な場所に痛みとして感じることも珍しくありません。左下に痛みを訴えていても、前歯が原因だったということもあります。
そのため、できうる診査を可及的に多く行い、総合的に診断することが重要です。
痛みの原因は何か、本当に神経をとる必要があるのか、本当に歯を抜かなければいけないのか、X線や外見だけで診断してはいけません。
当院の精密根管治療については、下記のページもご参照ください。
八王子・西八王子の歯医者 レイス虫歯クリニック 院長 池田 洋之