
歯牙移植とは
虫歯や歯周病、事故などにより歯を失ってしまった場合には、ブリッジや入れ歯、インプラントなどの治療を行って元の状態に復元にしますが、その際のもう一つの治療法として、歯牙移植があります。
虫歯などに対していくつかの治療を検討して難しい場合、親知らずや噛み合わせで機能していない歯などを移植して補います。
それらの不要な歯を一度抜いてから、他の欠損した部分に移植する事によって機能を回復させる事ができます。
奥歯が既に無くなっている方でも親知らずを移植することで咀嚼能率を格段にあげることが可能で、人工歯根のインプラントとは違い、ご自身の歯を利用できるのが最大の利点です。
歯牙移植のメリット・デメリット
歯牙移植のメリット
- ブリッジなどのように、健康な歯を削る必要がない
- 良い噛み合わせを作りやすい
- 治療費が比較的安い
歯牙移植のデメリット
- 条件に合った健康な親知らずまたは移植歯が必要となる
- 術後の経過や見通しがやや不安定
歯周病が進行してしまい、移植をしたい場所の骨の量が少ない方や移植する親知らずの歯根膜 (歯の回りに付着している靭帯のような組織)が少ない方には不向きな方法ですが、一定の条件さえクリアできればインプラントよりもお勧めの方法です。
歯牙移植とインプラントの違い
歯牙移植 | インプラント | |
---|---|---|
適応範囲 | 骨の量に対して制限が多い。 | 骨の量に対して制限があるが、骨を造成する事で、適応反映を広げる事が出来る。 |
ドナーの必要性 | 必要 | 不必要 |
外科処置の回数と箇所 | 1回、2カ所同時に行う | 1〜2回行う事がある、1〜2カ所 |
骨の量・顎堤の幅 | 最低限必要 | なければ再生 |
適応能力 | 歯の移動など体の変化に適応しやすい | 歯の移動か見合わせの変化に対応するため、細やかなメンテナンスが必要です。 |
若年者への治療 | 対応可能 | 対応可能 |
高齢者への治療 | 対応可能 | 対応可能 |
長期安定性 | 5年生存率とも一般にインプラントより劣ると言えます。 移植歯は通常神経が死んでしまいますので、歯の根が割れる、被せ物虫歯等のリスクは未処理に比べ、増加します。また経年的に歯の根の吸収をおこす事があります。 |
5年間機能する割合は90%以上 経年的に骨の吸収が起こる可能性があると言われています。その骨の吸収が直ちに機能に影響を及ぼすわけではありません。 |
成功率 | 手枝は煩雑で難易度も高いため、成功率は劣ります。 | 一般にインプラントの方が成功する割合は高いと言えます。 |
治療期間 | 3ヶ月〜 | 2〜8ヶ月 |
費用 | 保険適用も可(当院では保険適用外) | 保険適用外 |